クライシス
―― 一月一日十七時四十分 北朝鮮内陸部――
 雄介は山道を歩いていた。昼間に列車に乗って北朝鮮の真ん中辺りまでやって来た。夜に成ると列車内の検閲が厳しく成るので、列車に乗らず、歩ける所まで歩く。
 雄介が向かう先は北朝鮮の東側、日本海が有る所であった。
 何とか、日本海にたどり着きたい。日本に面した海を見ながら死にたい。そう思っていた。
 そもそも、二谷が逮捕された時点で雄介は二谷を置いて帰る事に抵抗があった。そして三宅も撃たれた。自分一人で日本に帰る事は虫が良すぎる。だから、調度良い、そう思い雄介は歩く。
 心残りは家族と、由香であった。
 由香とは約束をした。だが、その約束は守れそうに無かった。
 ゴメンな、由香……。雄介はそう思った。
 山道は殆ど舗装されていない道である。道が暗いねぇ。雄介はそう思い暗い山道を歩いて行った。










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