クライシス
男念入りにポケットの中を探った。雄介は冷静に男の顔を見る。そして声をかけた。
「……ちょっと聞きたいんだけど」
「あん?」
 男が顔を上げたその瞬間……雄介は手に握っていた物を老人の口に押し込んだ。
「うぐ!」
 そう言って顔を歪ました男は雄介を殴った。雄介は殴られて後ろに転がる。
「ぐぅ……貴様、何を口に入れ――ぐおっ!」
 男は言葉の途中で急に苦しみ出した。顔色が見る見る内に変色して行く。雄介は立ち上がり男を見た。
「CIA、お墨付きの、毒薬……!」
 雄介がそう答えると男は苦しそうにを吹き出して、倒れた。
 ツダさん。これ滅茶苦茶苦しそうな毒薬じゃないですか。そう思いながら雄介は男の手から銃を奪う。
 弾を確認して男を見た。人を、殺してしまった……体が震え出した。しかし、自分の身を守る為だ。雄介はそう思うと男に合掌をして時計を見た。
 時刻は十時五十八分。本当に自衛隊は来るのか?雄介は不安になった。
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