クライシス
―― 一月三日十一時 北朝鮮沖公海上――
 雄介が自衛隊を待っていた頃、ひえいはまだ北朝鮮の軍艦から逃げていた。しかも、既にロシアとの領海近くまで来ていた。
「艦長、ランデブー時刻です!これ以上北上しますと次はロシア海軍が来ます!」
 副長が叫んだ。富山艦長は下を向いて、制帽を取った。そして息を吐く。
「ならば、仕方が無いな……」
 富山艦長はそう言うと笑った。
「ミッション二に切り替える!面舵一杯反転一八〇度!徐々に針路を南東に向けて、日本領海に戻る!」
「了解!」
 総員から返事が来ると、窓から北朝鮮の戦艦を見た。そして、笑いながら呟いた。
「見事に引っ掛かってくれてありがとう……!」
 そう言って手を振った。







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