クライシス

パニック

―― 一月八日十五時十分 大阪大学キャンパス――
「色々聞いたわ、楠木教授から」
 由香が呟く。雄介はドキンとした。
「え?」
 雄介は由香を見る。
 大学のキャンパスには冬の午後の日差しが届いていた。風が無いせいか心地よかった。
 警備の為の私服警察官が大勢居る。それさえなければ平和その物の風景だ。
「大変な事が、起きるんやね」
 ベンチの隣に座る由香が呟いた。
「全部、聞いたんか?」
 雄介の言葉に由香が頷く。
 あちゃー。楠木教授、アンタ喋り過ぎや。雄介は頭を抱えた。
「東京で、爆弾テロが起きるんやってね」

< 239 / 274 >

この作品をシェア

pagetop