クライシス

伝説の男

−11月13日11:20−

東京都八王子市八王子警察署・・・


木下は八王子署前にいた。


昨日、河野から言われた二谷に会う為だ。


二谷は今は八王子署の交通課の課長代理をしている。


チヨダに居た伝説の男が何故、交通課に居るのか?


その疑問が木下の脳裏に浮かんだが、今はそれより二谷に会う事が先だ。

八王子署に入り交通課に向かう。


交通課に行くと、そこには一人しか居なかった。


その一人も電話中であった。


「知らんよ、俺が事故を起こした訳じゃ無いからなあ」


木下の耳に、その男が電話で話す声が耳に入った。


「あ?だから後はアンタと被害者で話して貰わんとな」


その男はえらく横柄な態度で話す。


木下は公安の癖で男の特徴を捉えた。


年齢は50代。白髪混じりのボサボサ頭で、目つきは鋭い。


頬に三センチ程の傷があった。


身長が高い。


「だから、そう言う事は保険会社に話せよ、警察はそこまで関知しないからさ!」


その男は、イライラした声でそう言うと溜息をついた。


「とにかく、早く来てくれ!じゃあな!」


それだけ言うと男は電話を切って、椅子にもたれ掛かった。
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