クライシス
―― 一月八日十六時五分 大阪大学入口――
「じゃあ、帰るわ」
由香が振り返る。
「うん、気を付けて。一応この辺には警察官がぎょうさんおるから、何かあったらすぐに」
そう言って周りの警備の警察官を見る。
「あ、そうや思い出した。まあ、どうでもエエねんけど、機会があったら女の子紹介して欲しい言うてる人がおんねん」
「紹介?警察官の人?」
「そう、名前は……あ、ハートやって」
雄介が笑いながら言う。
「ハート?何それ」
「いや、あだ名らしいんやけど――」
そこまで言った瞬間に雄介は止まった。そして由香を見つめる。
「どうしたん?」
由香が言葉を掛けるが、雄介は動かない。
「なあ、雄介」
それでも動かずに、ただ唇を微かに震わせていた。
「由香…だ」
「え?」
やっと開いた口で呟く。
「あの時……言ったのは由香だった……」
「どうしたん?」
由香が心配そうに雄介を見つめる。雄介は顔を上げると由香を見つめた。
「すまん、俺ちょっと急がなあかん事が出来た……」
そう言うと雄介は背を向けて大学内へと走り出す。
「ちょ、雄介!」
由香の呼びかけに答える事なく、雄介は走り去った。
「じゃあ、帰るわ」
由香が振り返る。
「うん、気を付けて。一応この辺には警察官がぎょうさんおるから、何かあったらすぐに」
そう言って周りの警備の警察官を見る。
「あ、そうや思い出した。まあ、どうでもエエねんけど、機会があったら女の子紹介して欲しい言うてる人がおんねん」
「紹介?警察官の人?」
「そう、名前は……あ、ハートやって」
雄介が笑いながら言う。
「ハート?何それ」
「いや、あだ名らしいんやけど――」
そこまで言った瞬間に雄介は止まった。そして由香を見つめる。
「どうしたん?」
由香が言葉を掛けるが、雄介は動かない。
「なあ、雄介」
それでも動かずに、ただ唇を微かに震わせていた。
「由香…だ」
「え?」
やっと開いた口で呟く。
「あの時……言ったのは由香だった……」
「どうしたん?」
由香が心配そうに雄介を見つめる。雄介は顔を上げると由香を見つめた。
「すまん、俺ちょっと急がなあかん事が出来た……」
そう言うと雄介は背を向けて大学内へと走り出す。
「ちょ、雄介!」
由香の呼びかけに答える事なく、雄介は走り去った。