【BL】ラブ・チューニング


屋上へ向かう廊下。
歩きながら、隣のクラスを覗く。
尚哉と弘人のクラス。

弘人の席には花瓶。
尚哉の席は…寝そべって寝る尚哉の姿。

その姿に顔は綻ぶものの、昨日の酷い言葉を思い出す。

「辛くなるなら覗かなきゃいいだろうが…」

和也が俺を引き寄せる。
視線は勿論、尚哉から離れる。
ぶっきらぼうな和也の優しさ。

「ありがと……」

和也に寄り掛かるように歩く。

なんだか…人の体温が恋しかったんだ。

歩く時に手を繋ぎたがる弘人の体温。
抱きしめてくれる尚哉の体温。

二つの温度を失って冷たくなった俺。

そこを優しく温めてくれる和也の体温に、俺はただ甘えたくなった。
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