私だけのスーパーマン






「生きてた……」


泉さんは薄目を開けてふっと微笑んだ。



「良かった…良かったです…」


泉さんを抱きしめる。



あのあと、救急車が来て泉さんは運ばれた。

ホントに、ギリギリだった。


もう少し遅くなっていたらどうなっていたか分からない。

そうお医者さんに言われた。


それくらい、危なかった。


怖くて。


泉さんが目を覚まさなかったら…

泉さんがこの世からいなくなったら…


そう考えると涙と震えが止まらなくて。



不安で、不安で仕方がなかった。


泉さんが眠っていたのは2日間。


その2日は私にとってもっとも辛かった日々で。



『泣かないでください』


そう苦笑いで言う泉さんが誰よりも愛おしかった。








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