私だけのスーパーマン
「貴大くんのこと、聞いたんでしょ?」
さっきの言葉を問いただそうと思ったが、綾に先を越される。
「あ…うん、まあ…ね」
誤魔化すこともできず、素直に答える。
「ビックリしたよ…
校内でさ、貴大くん…知らない女の子といちゃついてて。
遊ばれてたんだってそのとき初めて気づいた。
バカな女だよね…あたし」
「そんなことない」
私はそう言い放つ。
綾はちょっと驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻す。
「ありがとね、すみれ
あ~ぁ…洋に笑われるよ…」
机に突っ伏す綾はそのまま、動かない。
次第にすすり泣く声が聞こえ、
床に雫の跡がつく。
『これ、どうぞ』
そのとき後ろからティッシュの箱が出てきた。
「……泉さん…」
ティッシュの箱を持ってきたのは泉さん。
なんて気の利くいい人なんだろう。
私はそれを素直に受け取り綾に渡す。
泉さんは微笑むと、またどこかへ行ってしまった。