看護学校へ行こう
 この頃になると、出来る看護も増えてきて、洗髪も、洗髪車というものを使ってベッドで寝たまま患者さんの髪を洗ったりしていた。洗髪に関して言えば、一年生の第二基礎実習の時、あるグループが主任さんから、

「洗髪に必要な物品は何ですか?」

と質問され、一人一つずつ答えていったのだが、

「シャンプー、リンス、タオル・・・。」

と3つで答えに窮してしまったのだ。いくら一年生とはいえ、技術演習をやっているわけで、3つしか答えられないのはあり得ない。後でそのことをのだから聞いた私は、げらげら笑ってしまった。もちろんそのグループは主任さんからおしかりを受けたそうだ。

 二年生の現在、受け持ち患者さんの看護の行動計画に、よく「洗髪」を入れた。整形の患者さんはベッドに寝たきりで動けない人が多い。入浴が許可されていない患者さんもいる。だから「清潔」に関しての患者さんのニードは高い。だがある日、主任さんから言われた。

「受け持ち患者さんを特別扱いして洗髪してはいけません。」

と。他の患者さんも髪を洗って欲しいのだ。だが入浴にしろ、洗髪にしろ、週に1回の決まりだった。そのときは主任さんの言うとおりにしたが、どうも腑に落ちなかった。基本的に患者さんのニードを満たすことが看護だと習っている。多分スタッフから、

「学生さんが週に何度も受け持ち患者さんの洗髪をするから、他の人も洗って欲しいと言う人がいて、対応しきれない。」

と言われたのだろう。
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