看護学校へ行こう
第二基礎実習
 戴帽式、学園祭とイベントが終わり、いよいよ二度目の基礎実習が始まった。今度は一週間だ。前回提出しなくてよかった2号紙、つまり看護計画を今回は提出しなければならない。今度の実習先は、学生達がもっとも恐れる主任がいる、眼科と泌尿器科の混合病棟、通称「混合」だ。一年生の締めとなる実習である。混合の主任の赤田さんは、笑い顔など一切見せない。レポートを提出すると、赤ボールペンで線を引っ張って、クエスチョンマークばかりつける。そのクエスチョンを無視してはいけない。そこに書いた自分の文章の意味を文献で調べ、再提出する。しかしおかしければまた差し戻しをくらう。こうしているうちに、提出課題は山積みとなり、ついには寝る時間が無くなってしまう。毎日ラジオのオールナイトニッポンを、第二部まで聞くことになる。今度の実習は、前回のいわば「病棟体験」のようなものではなく、明確に受け持ち患者さんの看護計画をたて、実践しなければいけない。

 いよいよ第二基礎実習。私は「混合」だから、眼科と泌尿器科の本を借りなければいけない。だがなかなかめぼしい本は見つからなかった。そんな状態で「はじめに」を書く。混合での看護などなかなか検討がつかず、文献も良いものが見つからなかったが、主任が厳しいと聞いていたので、心して書いた。しかし6人全員差し戻しである。早速赤田さんの洗礼を受けることになった。聞いていたとおり、確かに赤線にクエスチョンマークが乱立している。しかしクエスチョンマークの意味がわからない。なんの質問も助言も無しにクエスチョンマークだけだから、自分で祖の意味するところを考えて解答していくしかない。他にバツマークをつけられているところもあった。なぜに「はじめに」で、こうも否定されるのかわからない。「はじめに」は自分の実習に臨む心構えを書くのに、その心構えが甘いというのか。だが文句も言えない。実習の合否判定は主任が行う。逆らうと落第してしまう。
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