看護学校へ行こう
 実習当日。緊張しながら混合病棟へむかう。いた。あの人が鬼の主任、赤田さんだ。思ったより小柄。だけど表情は眉間にしわを寄せ、私たちが行くと、薄ら笑いを浮かべた。とりあえず挨拶して申し送りを聞いた。普通行動計画は担当ナースに言うんだけど、赤田さんに行動計画表を渡すように教務の先生に言われた。その行動計画表について、一人ずつ質問されていく。行動計画表は・・・。赤線引いたところが力が入りすぎたのか、破けている。

「何これ、こんなんで実習できると思ってんの?書き直して!」

最初からみんな、ナースステーションで行動計画表を書き直すことになった。で、2度目に提出して、とりあえず黙っていたから、良しとされたのだろう。

「あの・・・オリエンテーションは?」

リーダーがおそるおそる聞く。

「自分たちで病棟の中、見学してきな!」

と言う。それで6人固まって病棟内を見学し、ナースステーションの物品の位置を確認した後、受け持ち患者さんのカルテを見て、情報収集した。赤田さんはなんと、1号紙と2号紙を明日までに提出せよと言う。無茶だ。3号紙だって書かなきゃいけないのに。これで今日の徹夜確定である。いや、徹夜しても間に合うのか?午前中は必死になって患者さんの情報収集をし、患者さんのところへは、自分たちで自己紹介に行った。普通は主任さんが紹介してくれるんだけど・・・。私が受け持つ患者さんは、60代の、太ったおばさんで、糖尿病の患者さんだ。なぜ混合病棟にいるかというと、糖尿病性白内障で、手術予定で入院しているのだ。だから、白内障と、糖尿病の勉強をしなければならない。
< 86 / 162 >

この作品をシェア

pagetop