蜜事中の愛してるなんて信じない
乗り換えを重ね、最後に乗った電車は『ゆりかもめ』だった。
狙っていた一号車の最前列には、小さな子供が陣取っていた。
しぶしぶすぐ近くの対面シートに向かう。
「アンタ、ちょっと、席代わってよ」
窓際に座った正志のTシャツと引っ張る。
「……断る」
窓の外を眺めながらそう呟いた正志に、一瞬呆気に取られた。
しかし、ここで引く由香子さんではない。
「断るのを断る!!」
「うっせ、ガキ」
「どっちがガキよ。大人だったら、余裕綽々で席代わるわよね」
「大人だったら、席代われだのぬかさねえな」
「私は、海を見たいの」
「それがガキだっての。
つべこべ言わず、ここ座っとけ」
乱暴に腰を掴まれて、隣に座らされた。当然、納得がいかない。
「ふん、アンタだって、海が見たい癖に」
「……うっせ。俺は窓際に座る主義なんだよ」
正志は、窓に顔を向けながらそう言った。
狙っていた一号車の最前列には、小さな子供が陣取っていた。
しぶしぶすぐ近くの対面シートに向かう。
「アンタ、ちょっと、席代わってよ」
窓際に座った正志のTシャツと引っ張る。
「……断る」
窓の外を眺めながらそう呟いた正志に、一瞬呆気に取られた。
しかし、ここで引く由香子さんではない。
「断るのを断る!!」
「うっせ、ガキ」
「どっちがガキよ。大人だったら、余裕綽々で席代わるわよね」
「大人だったら、席代われだのぬかさねえな」
「私は、海を見たいの」
「それがガキだっての。
つべこべ言わず、ここ座っとけ」
乱暴に腰を掴まれて、隣に座らされた。当然、納得がいかない。
「ふん、アンタだって、海が見たい癖に」
「……うっせ。俺は窓際に座る主義なんだよ」
正志は、窓に顔を向けながらそう言った。