蜜事中の愛してるなんて信じない
「ひっど。まさしさあ、最近つれなくない?」

 なくなくない? けっ。

「忙しい」

「なにそれー。ミホも泣いてたよ。まさしが遊んでくれないって」

「どのミホ?」

「うわ、サイテー。あーあ、ミホに言ってやろ」

「じゃあ、愛してるって言っといて」

 え。

「ギャハハハ。りょーかい。じゃあ、あたしここだから」

 ホームドアが開き、車両扉が開き、何でパンツが見えないのかが不思議なくらいめいっぱい短いスカートを履いたエセギャルが電車から降りる。

 無意識に正志に視線を戻す。

 既に進行方向に向き直っていた正志は、すぐに私の視線に気がついた。

「なに」

 無感情としかいいようがない正志の声音。

「彼女? ミホ」

 正志は、ふっと鼻で一蹴したあと「気になんの?」と私を斜に見下ろした。
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