かけがえのない唄
7
どうしてあたしは
こうなんだろう?
───7話
「今すぐ、来て」
突然鳴った携帯電話のディスプレイに『健ちゃん』と表示されて、慌てて出ると、切羽つまったような健ちゃんの声が聞こえてきた。
「え?何か、あったの?」
「純がおかしいんだよ」
「え?」
あたしは聞き返した。
「お前ら、ケンカしただろ」
「え、あ、うん」
「ったく。素人のファンは誤魔化せただろーけど……全然声のってねーよ」
「…は?」
「とにかく。ファンには悪いけど、純の一番重要人物は妃菜なんだから」
健ちゃんはあたしに
何を伝えたいの?
「ったく。うんとかなんとか返事しろよ」
呆れたような健ちゃんの声にもあたしは反応出来ず。
「今、純のばーちゃんちの街にいるから、来いよ」
一方的にそう言われ電話は切れた。
純のおばあちゃんの家は1つしかない。行き先は分かってる。
でも、あたしに何をしろと?
このまま純の所に行ってもいいの?