青春の蒼いカケラ
都竹松沢病院は大きかった。グランドからテニスコートから畑まである。病棟も。沢山あった。なおとは外来へ通うたび、チンピラが目に付いた。いざこざはいやだった。先生やケースワーカーに相談した。
「どうだい、新宿のクリニックへ行ってみないか」
先生が言った。
「はいどういうところですか?」
「先生は優秀だしおとなしい患者ばかりだ」 
「はい、宜しくお願いします」
先生は紹介状を書いてくれた。

 朝8時新宿へ向かって電車に乗ってた。とても、混んでた。新宿からバスに乗り、南通りで降りた。一見わからなくなった。近くの人に。
「白旗診療所はどこですか」
と聞いてみた。
「さあ、この裏手に薬局はあるけど」
「そっち行ってみます」
ちょうど9
九時だ、とぼとぼと歩いていくと大きな薬局があった。もう始まっているらしい。中に入って聞いてみた。4階に有るという。
「いや~ぁよかった」
と思いエレベーターで上がって行った。まだやって無かった。自動ドアーも開かなかった。時計を見たら、九時十六分だった。もう一人待ち人が居た。年配の品のいいおばあちゃんだった。
「はじめまして」
「あ~らやだ、あはは」
なんだか軽く受け流された。
「何時にあくんですか」
「九時半よ」
「あなた、詩なんかすき?」
「ええ、ぼくも書きます」
「この本どう・・・」。
「ええ」
なおとは手にとってみた、簡単で読みやすかった。
「私が書いたのよ、貴方に上げるわ」
サインをかいてくれた。
「なまえは、おおばと言うんですか?」
「そうよ」
と話しているうちに、事務員が来た、中に入った。中は、意外と狭かった。
「紹介所を持ってきました」
事務員に渡した。
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