【短編】少年と少女と美術館の龍
美術館の龍
「初めて美術館で『龍』を見た時、僕は彼を助けたい。って思ったんだ」


アーネルは両手を広げ何故だか嬉しそうに、隣に腰掛けるルーティエに語る。


ため息を一つつき


「何度も聞いたわ。その話」


と、金髪緑眼の少女ルーティエはつまらなそうに返した。


それもそのはず。アーネルはルーティエと会話する度にその話をするのだ。それも四歳の頃から十年経った今でも。


アーネルにとっては十年も昔から抱く思いだが、聞かされるこっちはたまったもんじゃない。
< 1 / 27 >

この作品をシェア

pagetop