Bizarre Witch~猟奇的な魔女~
やがてアメリアはゆっくりと右手を水平にまで上げると、クッと拳を握り締めた。


そこで俺はハッとした。


この動きはアレだ。昨日の夜、玄関で何も無い中空から剣みたいなのを出す手品だ。


そう気付いた瞬間からみるみる俺の顔面から血の気が失せていくのが分かった。


「うわ、ちょっとアメリアさん。す、すいませんでしたっ。以後発言には気をつけますからっ」


よほど俺が怯えていたのだろう。アメリアはプッと吹き出すと、例の動作を中断した。


「ええ。良いわ。今後気をつけることね」


なんとか難を逃れたようだ。


俺は心底からのため息を吐く。


「あっ、そうだアメリアさん?」


俺は予てからのお願いをアメリアにすることにした。


「何?」


と、ベッドから降りながら、素っ気無く言うアメリア。


「そのブーツ、家の中なんで脱いでもらえます?」
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