ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「…やっぱわかんないか」
「……」
私の言葉に彼は何も返してくれなかったので、
私は突っ立っている彼を無視して、また駅へと歩き出していた。
やっぱりウシオは、私の気持ちなんて全然わかってくれてないんじゃん…。
口では何でも聞くとか言っといてさ、ただ聞き流してるだけじゃないの…。
…そう思うと、
また彼に対する怒りや苛立ちが胸を占めていた。
世間は土曜の夜ということでなんとなくにぎやかだったけど、
私の心はさみしくて、
さっきまで飲んでいたアルコールも一気に覚めて、
急に現実の世界に引き戻されていく感じだった。
トモシもウシオもいない世界…。
これから私は、そんな世界で生きていかなきゃいけないんだ…。
つらくても、
ひとりでやっていかなきゃいけないんだ…。