ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
タクシーを降りると、
土曜日だったせいかホテル街は満室のサインでいっぱいだった。
それでも私達はなんとか空室を見つけ、そこへ足を踏み入れた。
小さな部屋に入ると、
ウシオはやっと私の手を放し、部屋の造りをチェックしながら言った。
「ごめん。ここでよかった?」
相変わらずおかしな発言をするウシオ。
「…ここでよかったも何も、彼女以外の女とこんなところに来ちゃっていいの?」
私が逆に聞き返すと、
「いや、ホントはビジネスホテルにしようかとも思ったんだけど、そういう場所だとアレが置いてないだろ…?だとするとこっちの方がいいかなと思ったんだけど、やっぱまずかったかな…?」
広いベッドに腰掛けながら、ウシオはまた見当違いなことを言った。
「…だからそうじゃなくてさ…。私が言いたいのは、サキさんの気持ちとか考えてるのかってことだよ」
狭いソファに腰掛けながら、私は呆れかえってそう言った。