ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「マユコ…?」
驚いたのは向こうも同じみたいだった。
彼は私の名前をつぶやくと、おもむろに眉間に皺を寄せた。
「何…?パパ、ホンモウさんと知り合いなの…?」
トモシの奥さんは私とトモシを見ながら目を白黒させた。
するとトモシは我に返ったように、
「いや…。ちょっと知り合いに似てるかなって思ったんだけど違った」
そう言いながらバスルームへと消えて行った。
「そう」
トモシの奥さんも再びキッチンへと戻って行った。
「……」
トモシの言葉にいたたまれなかった私。
干してあったスカートをハンガーから取り外すと、上着とバッグを手に取り玄関に向かった。
「すみません、私これで失礼します…!」
トモシの奥さんにそう伝えて靴を履く。
「えっ…、ちょっと、ホンモウさん…?」
彼女は玄関までやって来たけど、私はそれを無視して急いで外へ出た。