ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
考えてみれば、私にはこんなふうに言ってくれる人があまりいなかった。
もともと負けず嫌いで、
他人に自分の弱みを見せるのが嫌なのもあるけど、
周りからもそんなふうに見られてるみたいで、
私は他人に愚痴や弱音を吐いたことがほとんどなかった。
それは、
他人に本心を見せるのが怖かったのかもしれない。
そしてそれがまた悲しく思えた。
「もう…!ウシオといいガンさんといい、なんでそう私の心を逆なでるわけ…?」
気付いたら、
私はウシオの前で泣いていて、
そのまま彼に、心に浮かび上がるぐちゃぐちゃした感情を全て吐き出していた。
…愚痴の中身は、次回公演で与えられた役への不満やガンさんへの怒りだったけど、
こんなふうに自分の思いをあらわにし、
誰かに聞いてもらうのは初めてだった。