ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜

それから朝食を食べて宿を出て、近場を少し観て回った後、


私達は再び新幹線で帰途に着いた。




私の気持ちを知らないウシオは、道中これから付き合おうとしている同僚の女性の話ばかりしていた。




…ウシオの彼女になる人の話なんか聞きたくなかったけど、


私の気持ちに反して、耳は敏感に彼の話を追っていた。






ウシオに告白したという同僚教師と彼は、


今年同学年の受け持ちになったことから急速に親しくなったという。




彼女の方がウシオよりひとつ年上で、


三十路を過ぎているせいか、やはり結婚をあせっているらしい。




「教師なんてホント出会いがないから、やっぱ職場結婚で手を打つしかないのかな」




そう言ってウシオは笑った。




「そんなことないんじゃない…?職場以外でも、探せば出会いはいくらでもあるでしょ…?」




一応そう返してみたけど、




私はそれだけ言うのに精一杯だった。




ウシオの表情や口調から、


彼がその同僚にまんざらでもないというのが明らかに見て取れたから…。
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