あなたに捧げる愛の歌
仕事が終わり、高見さんの車に乗った。
「高見さん、岡倉メイさんの本名って知ってます?」
オレが高見さんに聞くと、
「さぁ?知らないです。まぁ、もし本当に知りたいと思うなら…きっと会えますよ。この先、生きていけば。」
と、言われてオレはびっくりしてしまった。
「へ!?あ、ハイ…そうですね。それじゃ、お疲れ様でした。」
オレは高見さんに挨拶して家の中に入った。
「只今、戻りました。」
オレは帰宅を家政婦さんに伝えた。
「おかえりなさいませ、千秋様。旦那様と奥様は外出しておられます。それと、電話でお申し付けられましたように、岡倉メイの曲をすべてご用意いたしました。とても、素晴らしい曲だと思いますわ。千秋様、ひとつ聞いてよろしいでしょうか?」
家政婦の時川幸和子(トキガワサワコ)さんが言った。
「なんですか、佐和子さん。」
オレが言った。
「どうして、岡倉メイの曲を突然お集めになられたのでしょうか?」
と、佐和子さん。
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