ハイスクールラブ
真奈美は答えずため息をついた。
ふと窓の外を見ると、向かいの校舎の1階の教室に紘季が見えた。カーテンを閉めている。
後片付けでもしているのかも知れない。
真奈美は立ち上がった。

「ちほ、ごめん、先帰ってて!」

ちほはハイハイと手を振った。真奈美の行動に慣れているといった様子だった。
廊下を走り、階段を駆け下りる。
上履きのかかとを踏みつけているので脱げそうになる。

(えーと・・・あれって、視聴覚室??)

すれ違いざまに何人かの友達に声をかけられるがバイバイ!とだけ言って走った。

ほとんどの生徒は帰ったか部活動で校舎にいなかった。
視聴覚室は暗かった。

(あれ・・・ここじゃなかったのかな。それとももう帰ったかな・・・。)

そっとドアに近づく。
すると何か声が聞こえた。
紘季と女の子の声だった。

真奈美は嫌な予感がして、静かに扉の隙間を覗いた。

カーテンが閉められて暗かったが、わずかに差し込む光で中の様子が伺える。

「・・・!」

紘季は女子生徒とキスしていた。
女子生徒は同じクラスの辻村くみこだった。

くみこはクラスでも美人な部類だったが、あまり女友達はおらず、真奈美も仲が良いとは決して言えなかった。
紘季の首に手をまわして熱烈なキスをしている。

紘季はされるがままになっていた。

(なんで・・・)
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