ハイスクールラブ
遠くからかすかに音楽が聴こえる。
(・・・・えーと・・・『くるみ割り人形』だったかな・・・)
機械的な音で、最後にチ―ンと大きく鐘が鳴り、真奈美はハッとして起き上がった。
まわりを見渡す。
(そうだ・・・私・・・倒れて・・・)
くみこの母の姿が見えなかった。時計を見る。そう長く眠ったわけではなかったようだった。
ガチャ、とリビングの扉が開き、くみこの母が入ってきた。
手に何冊かの本を持ってきている。
「あら、起きたのね。大丈夫?」
「はい、すみません・・・ありがとうございました」
真奈美は頭を下げてお礼を言った。
くみこの母はいいのよと言って、真奈美の向かい側に座った。
くみこの母は美しかったが、息子を亡くした悲しが滲み出ており、覇気のない表情をしていた。
「・・・あなたから、春人の名前が出てきたから・・・久しぶりにあの子の写真を見ようと思って」
そう言って、手にしていた本を開いた。アルバムだった。
真奈美も一緒に覗き込む。
高校の入学式とタイトルがふられ、制服を着た春人が辻村家の前で立っている写真だった。
(この人が・・・)
目が少し垂れて、とても優しい表情だった。真新しい制服と、照れくさそうな笑顔が若さを象徴していた。
「あなたが言ってた、春人のことで苦しんでいる人っていうのは、誰なのかしら」