僕の中の十字架
〈pluto〉






「乖離性同一性障害」

一人の中にいくつもの人格が宿る。つまり多重人格だ。


クロエの父親は、以前に何度かそんな患者を診ている。



六人の人格を持ち、あまたの男性と関係を作った女性。


四人の人格を持ち、そのうちひとつは残忍な殺人鬼の人格で、殺人を犯した記憶がない少女。



五人の人格を持ち、人格が変わってもその時の記憶がある少年。



そして彼は、その様な多重人格を、統合治療をもって“ひとつ”に戻して行った。


統合治療とは、催眠術の様に患者を半覚醒状態にし、似た人格同士を統合していき、最終的に“ひとつ”にもどす。



彼は、あることを疑いだした。


自分の息子である。




大体の患者は過去に大きなトラウマがあるが、稀に、極稀に、





















自然に発症する。










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