49日
いよいよ、話しが問題の場面へとやってきた。


話している橘はもちろん、聞いている麻里子たちにも一層緊張が高まる。


橘はおしぼりで額の汗を拭うと、途中になっていた話しを続けた。


「改札を越えてホームにあがると、俺と健太郎と吉田くんしかいなかった。


っていっても、もうあんな時間だったし、他に人がいないことは気にならなかった。


電車を待っている途中、ずっと意識がはっきりしなかった吉田くんが目を覚ました。


シラフじゃないから、もちろんあのときの話しがほんとだったかはわからないけど、吉田くんは俺と健太郎にあることを教えてくれたんだ……」


橘くんはそこで一度言葉を止めると、みんなの目をぐるりと見渡して言った。
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