小さな蕾
「あのね、今日彼氏がうちにくるから。
蓮兄に紹介するもんではやめに帰ってきて…んー…3時くらいにはね」
…
「は?」
思わず問いかけた。
「だ・か・ら・今日彼氏がくるから早く帰ってきて…っていってんの!」
”彼氏”
伶菜の口からその言葉がでてきて驚きを隠せない。
目の前にある看板にぶつかりそうになり、ふらつきながら自転車をこいだ。
頭をごーんと殴られたような、そんな感覚に襲われた。
”もう…伶菜は俺のものじゃない”
なんでだよ…なんで俺のキモチわかってくれないんだよ
なんで?俺が一番伶菜を愛しているのに…。
「蓮兄…?聞いてる?」
「お…ぉお」
自分で口にして分かる。
すごく動揺していることが。