HAPPY DAYS
放課後、今までは紀子とデートしながら予備校に行くルートだったから、
どうすべきか分からない。


毅が「3人で」と言ってこなかったら、もしかして行かなかったかも。


オレは指示待ちだな、と毅の顔を見ながら、机の上に座っていた。


毅は髪を黒くしても、服は相変わらずカラフルだ。
今日のジャケットはタキシードみたいに衿がサテンな感じ。
インナーは紫で刺繍とビーズがくっついて、女の子の服なんじゃないかな。
パンツは割に普通でジーンズだった。


それに対して紀子は、ワンピースにボレロ。すんなりした脚が短めのグリーンのワンピースから伸びている。


何時もよりなんか気合い入ってない?


それはオレと出掛けるため?
それとも…?


二人が部活してくかどうか話出したから、
「ちょっとトイレ」


と教室を出た。


オレ達のクラスは同じフロアのトイレに行くのに、結構遠い。


そこをぐずぐずと一人で歩いていたら、

「花巻先輩」

と女の子から声が掛かった。
3人組。顔は見たことあるような、ないような。一人はちょっと可愛い感じ。もう一人はでかくてガッチリしている眼鏡の子。最後の一人は痩せすぎて、幽霊っぽい。

「花巻先輩、ちょっといいですか」

3人に腕を掴まれ、空き教室に連れ込まれた。

「なに?」

「先輩、今フリーなんですか?」
「瀧澤先輩と別れたんですよね」

口々に言われ何て答えるべきか戸惑っていると、3人の中で1番可愛い子がしがみつくようにしてきた。


「ずっと好きだったんです。付き合ってください」


またか。
でもオレは君代がいるし、無理。


「ごめん、オレ…」

「まだ瀧澤先輩が好きなんですか?山浪先輩と付き合っている人なのに?」

と、友達の眼鏡デブちゃんが割って入った。毅の名が出て来るなんて。やっぱりそうゆうことな訳?


「誰を好きでも、誰と付き合おうと、悪いけど君とは付き合えない…受験生だし」


「じゃあ、受験が終わったら考えて下さい。またきます」


ドスドスと音を立てて、泣いてる告った子と幽霊を抱えるように、デブちゃんは去って行った。


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