超能力者が高校生!?
「ど、どこ?いい場所って」
どうやら白鷺も不安らしい。
「実はな、この町の海沿いに大きな倉庫があるんだ。そこなら、誰もいないし、外には音も漏れない」
「倉庫?倉庫ってコンテナとかが近くにある?」
「そう。よくドラマとかでやくざの組同士の勝負とかがよく行われてる所だよ」
で、今からそこで超能力者同士の勝負が行われるわけか。
「いいんじゃない?誰もいないんだったら好都合よ」
「まあ、いいんじゃないか。でも藤沢はどうするんだ?まだ来てないし・・・」
その時、部室のドアがゆっくりと開いた。藤沢がかばんを持って登場した。
「私も行く」

かもめが飛び交い、遠くで船がプオーと音を鳴らしている音が聞こえた。少しさびているが使うことには越したことがない、中くらいの大きさの倉庫の前に俺たちはいた。
「ここか?」
「そうだ」
土田が少し自慢げに答えた。別にこんな倉庫の存在を知ったところで何の自慢にはならない。
俺達は制服のままでこに倉庫にやってきた。着替えるのもあれだし、何しろ白鷺と土田が早く勝負をしたいと言っていたのだ。そんなに大事な勝負なのか?
「ここは本当に誰も来ないよな?誰かが来たら・・・」
「大丈夫だ。ここは誰かが来るような場所じゃないだろ?」
「まあ、普通はな」
中に入ると、建設用のショベルカーやら鉄骨やらが雑に置かれている。こんなところで何の勝負をするんだ?
「ちょっと邪魔よね。よし、ちょっと待ってて」
と言うと、白鷺が何やら集中してる素振りを見せたと思えば、手を上にかざして念じていた。するとショベルカーや鉄骨がふわっと浮き上がり、倉庫の端へと置かれていった。みるみるうちに倉庫はきれいさっぱりとなっていった。
「まあ、これでいいんじゃない?」
「そ、そうだな・・・」
「何だ恭介?こんな力如きで驚いているのか?こんなの基本中の基本だって」
「な、何よ!こんな力如きって!あんたの力なんて、あたしの足元にも及ばないのよ!」
「ほー、やってみるか?ただの念力女が」
「きーっ!!すぐに勝負よ!あたしのザイルで、あんたの骨を粉々にしてやるわ!」
「やれるもんならやってみな。その前に俺のスパルクでお前を二度と動けねえ体にしてやるよ」
「望むところよ!恭介!ちょっと審判やって!」
と、俺を指差して言った。
「し、審判?」

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