超能力者が高校生!?

転校

確かこれで、転校は8回目だ。もうすっかり慣れているが、決していいものではない。

小中高生の転校は、普通の学生なら一年の内に一度転校するとして、最高12回は転校できる。しかし、そんなに転校するほど変わってる奴はいないだろう。

まして、そんなに転校するんだったら、学校なんかやめればいい。転校を繰り返して気分を変えたいのなら、退学してからいっぱい気分を変えればいい。

だが、俺はそうも行かなかった。行きたくない学校に行き、転校したくないのにしなければならない。そんな日々が、俺を苦しめていた。

あれから6年後・・・

初めての校舎、初めての見る顔、それが俺の全てだった。始業式というか、前期が始まる時の集会には、俺は出なかった。なぜなら転校生であるし、実は俺が自ら断った。慣れているというか、何となく出にくかったのだ。


それよりも、俺の入るクラスのことについて話を聞く方が、まだ良かった。というのも、始業式での校長の話はどうでもいい事ばかりで、ただの時間の無駄と判断
したのだ。


しばらくすると、始業式が終わり、生徒のざわめきが大きくなってきた。クラスを分けている表には、学年ごとに生徒が群がっていた。友達と手を取り合い喜ぶ者、友達と一緒になれずに残念がる者。中には無関心な者もいる。


俺もその中の一人だ。むしろ見る気もしない。知り合いも誰もいないところで一人で喜ぶよりじっとしておいたほうがいい。勝手に喜んで真っ先に変な奴に思われるより勝手にやってきた転校生と思われたほうがいい。


教室に入ると、待構えていたかのように生徒達全員の視線が俺に集まった。こういう事には慣れている。何しろ8回目の転校だからだ。嫌でも慣れないとダメだというものがこの世にあるということを思い知った。


俺は何事もないように席に着いた。その後は、俺のことをひそひそと話している女子たち、元の話題に戻っている男子たちが集中した。しばらくすると、担任らしい男が入ってきて、はきはきと自己紹介を始めた。もちろん、それに耳を貸す者は1人もおらず、わずか30秒たらずで終わった。


こうして、俺の光緑学園での学園生活が始まった。




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