†正しい王様の在り方†~Fake!!(フェイク)外伝~
「そうだな…。」

二人とは、こういう別れになる事はわかっていたのに…覚悟は出来ていた筈なのに、胸の奥がキシキシと軋む。


「レオルド…色々とありがとう。貴方に会えて本当に良かった。貴方の治める国に生まれた事は…僕の誇りだよ。」

エドガーが、エメラルドグリーンの大きな瞳に涙をいっぱいに貯めたまま、俺を見上げた。


「ふん。何を今更!頭脳明晰な俺様が治世をしているんだぞ。国が栄え、民が幸せになるのは当たり前だ。」


「レオルド~。」

堪えきれず、泣きじゃくりながらエドガーが俺の胸にすがりついた。跪き小さな頭を撫でながら、努めて冷静な声で俺は彼女を宥めた。


「だから…お前達も幸せになれ。いいな?」

「…うん。」

「せめて…俺が格好いいジジィになる前には帰って来いよ。」

「うん。」


エドガーから身体を離し、ロニィの方へ彼女を押し戻すと、俺は、机の上にあった方位針をロニィに放り投げた。

「餞別だ。使い方は良くわからんが…持っていけ。」

「…ああ。有り難く貰っとくよ。…それじゃあそろそろ行くよ。」

ロニィはまだ、涙を拭っているエドガーを促し、ドアを開けた。


「…じゃあな。」

「ああ…。又な。」


バタン

ドアが閉まり、コツコツと二つの足音が遠ざかっていく。
ソイツを聞きながら、俺は祈った。


(神よ…我が友に慈愛と庇護の恵みを与えたまえ。)

…再び彼らに見えることを願いながら。


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