輪廻の世界
輪舞曲 / ロンド /

ぼくらの憂鬱

     おはよう

僕は目を覚ましたことによって今まで寝ていたということに気がついた。一体いつから寝ていたんだっけ。窓から差し込む夕陽がとても大きく見える。教室の壁に取り付けられた時計は5時30分調度を指したまま動かない。もう、動いていない。電池が切れているんだろうか。こんな時に限って、良い迷惑だと僕は心の中で毒づいていた。


完全に意識が覚醒すると、変なことに気付いた。今は部活をしている生徒も多いはずなのに、物音も声さえも、何も聞こえない。ただの静寂がこの教室、それ以上に学校を支配していた。


不審に思った僕は思わず鞄を開いた。中に入っているのは教科書…のはずなのに、そんなもの一切なくて。代わりに入っているナイフ(所謂サバイバルナイフというやつ)は僕の家で勿論の事、見た記憶も無い。入れた記憶も無い。あるはずのものがなくて、無いはずのものが入ってる。ここまで不可思議なことはない。もう、二度とないだろう。


とりあえず教室を見渡してみたけれど、何も変わりは無い。いつも授業を受けている教室だ。…でも、日直のところの字が赤いチョークでぐしゃぐしゃと塗り潰されている。嫌がらせだろうか。其処には確か、僕の友達である男女の名前が書いてあったのに。


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