「私」にはなかった「モノ」【実話】
携帯の画面を見て膨れ面をしていると、ミワが私の顔を見て笑った。


「あいちんなんて顔してんの!」

「だぁって俺のせいじゃないのに~…」

「何が?」

「なるちゃんがさ、私の言う事逆らわないじゃない?でもあれ私のせいじゃないのにアキラさんが怖いってぇ~」

「あ~なるちゃんは病気だよね~」


なるちゃんって言うのが後輩だ。
彼女は…不思議な子。
マイペースで我侭かと思いきや私にだけは絶対服従。
私は後輩と言えどもそんなのは関係なくて、ただ仲良くしたいだけだからよく普通にしって良いよ?とは言うのだけど…
「そんな!先輩にタメ口なんてきけませんよ!先輩は俺の神様なんですから!」なんて意味のわからない事をよく言っている。
本当にわからない子だ。
でもわかる。
彼女は私の事は苦手だろう。
なんとなく、そんな気がする。
と、言うより…
なんとなくわかってしまう。
自分の事が嫌いな人と好きな人。
小学校、中学校とあんな環境にいたからだろうか?なんて。

携帯を持ち直して返信を打ち出した。



私は怖くないです!
あの子が不思議な子なんですよ!
あ、今度その子に会いますか?
イベントに行く前に…
アキラさんの都合がよければ~ですけど。

うん!
じゃあ13日大丈夫かな?
その日休みなんだ。

わかりました~
ちょっと待って下さいね?
聞いてみます。



返信を打ってなるちゃんに電話をかけた。
コールが1回…2回…3回…
私からの電話はいつもコール3回で出る彼女。
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