【束縛―ソ・ク・バ・ク―】
【10月】
今日は朝から彼女と2人で営業だった。
午前中に2社、午後に1社。
全て大成功だった。
やはり、彼女の営業手腕は素晴らしいものだった。   

取引先の社長は彼女の話に耳を傾け、契約書に印を押す。

中には彼女のミニスカートからすらりと伸びた足を見て
セクハラな事を言うオヤジもいたが、
さらりとかわして難なく契約に持ち込んだ。

僕は彼女にあっぱれ!と感じながらも、営業手腕にはシットする。

これなら本社が手放したくない理由が分かる。
そして本社の営業課の男性社員の気持ちも分かる。



僕たちはカフェで一息ついてから支社に戻る事にした。



「・・・ミニスカートもきれいな足も、武器なのか。」

僕のこの言葉は、敏腕へのシットより、
僕ですら直視できない彼女の足を
スケベなオヤジたちに見られるのが嫌だった。

「・・・篠原さんも、本社の男性と同じ事言いますね。」

彼女はほんの少し不機嫌に答える。

「私は落とすと決まったら、どんな武器だって使いますよ。
 出し惜しみしないんです。取引先の社長にも、篠原さんにも。」

篠原さんにも、と聞いて思い出した。
思い切って聞いてみる。

「営業に出るとき、ガーターストッキングって本当?」

「――はぁ?

 ・・・誰から聞いたんですか。」
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