人生色々。寝子生だって、色々である。
 我が輩も猫。うまい事家族を利用しつつ、なんとかうまくやっていた。
 まあ、耳が独特の形をしている我が輩は、耳掃除を嫌だと言ってもされたりはしたが。家猫なので、これまた嫌だというのに、爪は切られるし。
 毎年"くりすます"とやらには、痛い"ちゅうしゃ"をされるし。しかも、我が輩の誕生日を勝手に決めておきながら、祝い忘れる。
 ……はて、我が輩は本当に、この家で歓迎されているのだろうか?そんな事を考えた、新しい家にきて2年が経過した夏。
 この日は娘めがまた、イライラしていた。娘め、よくイライラしては我が輩に当たる。口で言うだけだが……大きな音が嫌いな我が輩としては、近づきたくなくなるのだ。

 この日はまた、何に苛立っていたのかは知らぬが……我が輩は手洗いに行きたかった。まあ、正確には……娘と離れたかったのだが……。
 娘めは、とうとう切れて……、我が輩に向かって言った。

「お前なんか、いらない!でてけ!」

 そこまで言われては、プライドの高い我が輩の事。実行しない訳にはゆかぬ。
 夜中、父?が手洗いで眠ったのをいい事に、手洗いの窓から家出してやった。
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