行き違い
「え~と、東京から来ました。名前は松浦光(まつうらひかり)です。よろしくお願いします。」
あいつ。そうあいつがきた。今、俺が一番恐れていた人物がきた。
「たくと?顔が怖がってるよ!あの松浦っていう人たくとと同じクラスだよ。見た目的に怖そうだね。」
「…あ、ああ。そうだな…。」
忘れられていた記憶が今よみがえる。
あの日あいつがいなかったら。
「たくと!すごい汗かいてるよ!ハンカチ…はい!」
小さい手から水色のハンカチが近寄ってくる。
「さ、サンキュー。最近暑いな~…ははっ」
ここは兵庫県。あいつは中学入試で東京の学校行くとかいって受験して失敗して。実家が東京だからそこの公立中学に入り不良の道に走った。
そして、ようやく始業式が終わり、教室に戻った。
「よ!ハゲっ!またあったな~」
ふてくされた顔で俺を呼ぶこの声。間違いなくあいつだ…怖い。
「お、おう。久しぶりだな。」
恐る恐る答える。
「どうした?(笑)やけに怖がってるな。そりゃ~そうだわな!おれのおかげでお前の夢を全部台無しにしたもんな。(笑)」
頭がいたい。そこで、話しに決して入れたくない奴が話しに入ってきた。
「たくと!どゆこと?夢?全部言って」
みゆだ…。ダメだ!お前だけは関わっちゃだめだ。お前だけは…。
俺より口を開いたのはアイツだった。
「ヘェ~。野球の次は女か!お前見てるとムカつくんだよね。いつもお前ばかりいいとこ取りで。」
みゆにこんな話し言えない。
「場所変えようぜ。ここじゃ話しにくい」
早く教室からでたい。
「いいぜ。どうなっても知らないぜ。」
「たくと!」
「みゆ。2人にさせてくれ。また戻る。」
みゆだけは絶対だめだ!話しにいれちゃだめだ。
「分かった。絶対だよ。待ってるから。」
良かった。納得してくれた。
「必ずな。」
おれとアイツは教室をあとにした。
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