断片
そして放課後。
「竜ちゃんっ。」
雄介が俺を呼んだ。
「何だぁ?」
「俺、ちゃんと手繋ぐから
覚えとけよぉ!?」
にこって笑った雄介は
綾香と一緒に扉を出た。
「…世話の焼ける男だな。」
俺はそう言って
机に突っ伏した。
本当は、雄介より前から
綾香が好きだった。
でも、あいつの顔見たら
応援しちまうんだよな。
幸せになれよ、雄介!!
綾香を幸せにしろよ!!
そう思いながら
俺は涙を流した。