風になったアナタへ
1998年12月24日(リンの死後4ヶ月)

~リンは来ない~

帰国してから私は、友人の誰にも自分の帰国を知らせることが出来ずにいた。

懐かしい友人に『元気?』と言われて『元気!』と笑える余裕が私の中には無かった。そうかと言って、泣きながらリンの事を話す気力も無かった。

クリスマスが迫っても、当然のことながらリンからの連絡は来なかった。それでも私は、

「クリスマスに日本へ行くから!」

と言っていたリンの言葉を私の中で終わりにすることが出来ないでいた。愚かなことだとは知りつつも、クリスマスイヴもクリスマス当日も私はリンの為に予定を入れずに空けておいた。

アメリカを離れて以来、私はパトリシアにハガキの一枚も書いていなかった。クリスマスカードを送ることは、私も少しは考えた。しかし、それをして良いものかどうか私には自信が無かった。そして何を書いたら良いのかも分からなかった。そうこうしているうちにパトリシアからクリスマスカードが届いた。そこにはリンの写真と天使のイラストがプリントされた一枚の手紙が添えられていた。
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