雪花
突然の出来事
 次の日。

 相馬の席は、空いていた。そういえば、相馬はよく休む。


ーーキーンコーン、カーンコーン

 担任が教室に現れ、HRが始まる。

「今日は、みんなに話さなきゃいけない事がある」

 担任が神妙な面持ちで話し始めた。

「相馬だが、昨日が最後の登校だった」

「え?」「何それ」「どういうこと?」

 みんなが驚いて、それぞれ疑問を口にする。

「静かに!相馬は、もともと心臓が悪くて、手術のためにアメリカへ行った。今日まで伝えなかったのは、本人の希望だ」


ーーえ?なに?


 担任の声が、遠い。話が頭に入ってこない。

 ざわつく教室。


 私は、ただ呆然としていた。

 昨日が、最後…?なにも言ってなかった。
 昨日、屋上で見た雪花。
 困ったように笑った相馬は、何を考えていたの?

 なんなの?
 人の心に勝手に入ってきて、勝手にいなくなって…。


「響、ちょっと」

 いつの間にか、HRは終わっていて、私は担任に呼ばれた。

「…なんですか?」

 教室の外にいる担任の手には、何かが握られていた。

「相馬から、響に渡してほしいと預かった」

「…ありがとうございます」








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