answerS
家を出る前に二人にギュウってされた。
本当は不安で仕方ないんだけど二人の体温を感じたらなんだか安心した。
暮羽さんのいる場所、つまり僕の古巣。
其処に行くには一番速い電車で二時間かかる。
実は意外と近かったりする。
だから運よく二人にめぐり会えたんだけど。
光速に流れる外の景色を電車の窓から眺めていると昔の事を色々思い出してくる。
名前ではなくナンバーで呼ばれていたこと。
そもそも僕には名前なんてなかったから関係なかったけど。
夢太って言う名前はノイローとアレジが色々考えてつけてくれた名前。
だから僕は自分の名前が大好き。
それから広くて真っ暗な部屋。
毎日打たれる食事がわりの点滴。
銃やナイフの練習に使う生きた的。
そして怖くて堪らないお仕置き部屋。
僕の周りには僕に何かを強要する人以外誰も居なかった。
暖かい場所で過ごす他の子達と隔離されて僕は冷たい壁に囲まれた所に一人でいたんだ。
思い出しただけで背中が冷たくなり吐気がしてくる。
今だから思うけど他の子達は僕とは違った苦しみがあったのかも知れない。
話した事が無いからよくわからないけど。
あの頃の僕にとっては暮羽さんから愛情をもらっている疎ましい存在で有り、いつも死ねばいいのにって思ってた。
唯一あった感情がこれなんだから救いようがない。