answerS
青年は僕の話を疑り深そうに聞いていたがそれは仕方がない事なので僕は何も言わない。
彼らの中では…このヘブンズ ハウスはまさに天国のような所なんだろうから。
僕の今までここで過ごしてきた時間を否定したとしても別に怒ったりはしない。
「……で、俺達の中から…その、お前を越える人材を育てたいと…」
「うん。だからえーっと…、僕を憎んでもいいけど…いきなりこられると加減出来ないから…宣言してからきて」
僕だって死にたくはないから…と溢すと青年は妙な顔をした。
「…お前って、だんまりの冷血鉄仮面ってイメージがあったんだけど…なんか変わったな…」
素直にその言葉は僕には嬉しくて頬が緩む。
今思えばハウスの他の子達と口を聞いた事なんて数えるくらいしか無かったから…こうやって話せる事がなんだか嬉しかった。
「色々あったからね…、でもキミも大分変わったと思うよ」
僕がそう言うと青年は顔をしかめた。
…何か悪い事言ったかな、
「そのキミって言うの止めねぇ?俺チカって名前なんだ。だからチカって呼べよ」
それでお前のナンバー以外の本当の名前は?と尋ねられた。
「……夢太、僕の名前は夢太。…だからそう呼んで?」
「?わかった、っーか俺…まだお前…夢太を憎む事はやめられない」
「…うん、わかってる」
僕は大人しく話を聞き続ける。
「けど…兄貴を殺した理由もわかったし…力じゃまだまだ勝てねぇって事を思い知らされたから、もう夢太に銃を向けたりしねぇよ」
そう言ってぐたっと壁に寄りかかるチカにほっとして息を吐いた。
安堵する僕にチカは人差し指をさした。
「その変わりっ!俺にもお前を越えさせろ」
そう言って彼らしいお願いをしてくるチカに思わず笑みが溢れた。
…弟ってこんな感じなのかな…
「僕も助かるよ。…でもそんな事したら僕いつかチカに殺されない?」
不安になってそう言うとチカに笑われた。