あなたが一番欲しかった言葉
2月の、よく晴れた日曜日の午後。

真梨子を迎えに行くため車を走らせた。

朝晩は冷えるけれど、日中の陽射しは暖かく、上着などいらないくらいだ。
自宅の前で待つ真梨子も、青いダンガリーシャツを1枚着ているだけの軽装だった。

助手席に乗り込むと、真梨子の甘い香水の香りが車内に広がる。

「暖かいねー。まるで春みたい。
本当の春がきて、もっと暖かくなったら、絶対ピクニックに行こうね。あたし早起きして、お弁当を作るから」


真梨子はこんな風にして、いつも僕を満ち足りた気持ちにさせてくれる。


「れっつごー!」
真梨子の出発進行の合図で、車をイサムの家に向けて発進させた。
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