あなたが一番欲しかった言葉
それきり、もう何も語ろうとしない真梨子に、話しかけた。

「もう・・・唄わないのかい?
僕たちまだ、人生の半分しか生きてないじゃないか。
もう一度夢に向かって歩き始めないか」

「もう・・・無理よ」

問いかけに、真梨子は首を左右に振った。

「無理なもんか。だって僕も真梨子一人じゃないだろう。
いつだってこの胸の中、イサムがそばにいるじゃないか」

一瞬驚いた顔をした真梨子が、少しだけ微笑んだ。
< 223 / 230 >

この作品をシェア

pagetop