あなたが一番欲しかった言葉
「なれるよ、きっとなれる・・・ねえヨシ君、よかったらその小説のタイトルを教えて」

「『あなたが』・・・」

「え?」

「『あなたが一番欲しかった言葉』というんだ」

口元を押えた真梨子の瞳が、瞬時に潤んだ。


「真梨子、もう2度と、自分で自分を傷つけるようなことをしないと約束してくれ。
あの事故で、もしかしたら真梨子は死んでいたかもしれないんだよ。
せっかく助かった命を粗末にしちゃいけない。何があってもくじけちゃいけないんだ・・・・心の中のイサムがそう言っている気がする」

ぎゅっと目を閉じた真梨子の瞳から、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
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