あなたが一番欲しかった言葉
「そう、あの笑点。変でしょう。これってたぶんお父さんの影響。
特に最後の大喜利があたし好きで好きで、でもあの『♪ちゃんちゃかちゃかちゃか、ちゃんちゃん』って音楽が流れると、ああ月曜日が始まるのか、またピアノの練習かって、すごい憂鬱な気分になったわ」


人と親しくなるということは、壁が無くなる、ということだ。
誰と出会い、誰と話していても、そこには見えない壁が存在する。

真梨子と僕の間にあったいくつかの壁の、ひとつは確実にはがれたようだ。

少しづつではあるけれど、僕は確実に真梨子に魅かれていった。

真梨子には浮わついたところが無い。
人には流されず、中心にある堅い意思を感じる。

そこが彼女の魅力だった。
< 36 / 230 >

この作品をシェア

pagetop