あなたが一番欲しかった言葉
告白
「この前は楽しかったね。
イサム君って、あんなに歌が上手いとは思わなかったわ」

ホットコーヒーに、半分だけスティックシュガーを入れながら、真梨子がにこやかに話す。

僕と真梨子は、バイト帰りにファミレスに立ち寄るのが習慣となっていた。

バイトが終わるには深夜の12時。
それから1、2時間のお喋りに、翌日の睡眠不足は避けられないけれど、2人は一向に気にしなかった。

ビールジョッキを傾けることもあるけれど、普段の平日は、今夜のようにコーヒーだけのことが多い。

真梨子とのこの時間を、僕はどれだけ待ち望んでいるだろう。
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