あたしの似顔絵

台風

 あたしは後者裏で、ハナダさんに殴られ蹴られた。

 帰宅を急ぐ子たちのはしゃぎ声が遠くから聞こえていたけれど、それもだんだん聞こえなくなった。

「あんたが、わるい。あんたのせいでタキガワ君に嫌われた。あやまれ」

 憎しみのせいで痛みは無かった。

 暴力を受けている自分がまるで幻の一部にでもなったようで、あたしはずっとふわついていた。

 でも痛みは無くても、自分が傷つけられているというのは確かに理解していた。

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