猫と君
am.9:00



――――…



気付いたら俺は
ベッドの上にいた。


……夢か…。
ずいぶん懐かしい夢みたなー…。



下校中
葵のあの凛とした姿を見てからどうやって家に帰ってきたのか、ほとんど覚えてない。

いつのまにか
寝てたみたいだし…



タッタッタッタッ…


ベッドの上でぼーっとしてると階段を駆け上がる音が聞こえてきた。


聞き慣れたこの音。

あ、だんだん近づいてくる。




バンッ!


「慧っ!!ご飯だっていってんでしょ!!いつまでぼーっとしてんのさ!!」


やっぱり。葵の足音か。


「…ぅん……あ、葵」


「…?なにさ?」


「……今日の夕飯なに?」


「豚のしょうが焼きだけど?」


「…そっか。わかった、今行く」




…なんだか


今すぐ葵を抱きしめたかった。

でも
必死で理性を取り戻して
葵よりも先に階段を降りて、豚のしょうが焼きに食らいついた。



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